VOL.712 干しずいき 〜用語辞典

干し芋茎(ずいき)は、里いもや八つ頭、ハスイモなどの葉柄を芋がらと呼び、これらの皮をむいて乾燥させたものをいいます。

赤ずいきと白ずいきがあり、赤ずいきにはアントシアニンが豊富に含まれており疲れ目防止などの効能があると言われています。ミネラルが豊富で生のものはアク抜きをして和え物や酢物などにします。皮を剥いて干したものは水で戻してから、煮物などにして食べられています。

VOL.711 ホースラディッシュ 〜用語辞典

ホースラディッシュは、もともとフィンランドをはじめとするヨーロッパ原産の植物です。

別名わさび大根、西洋ワサビとも呼ばれ、細身の大根ほどの大きさの、木の根のような外見です。皮をむくと、中は白くてかたく、日本のワサビや大根に似た香りと、鼻にツーンと抜ける刺激的な辛さがあります。

日本では明治時代に伝わったとされており、かつては長野や埼玉、北海道で栽培されていましたが、現在では大半が北海道産となっています。

ホースラディッシュは、そのままだと辛みはあまり感じません。普段みかける、緑色のわさびとは違い、白色が特徴です。味はそのまま食べるとそこまで辛くありませんが、日本のわさびと比べて酸味があり、すりおろすと強い辛みがでます。その辛さは本わさびの約1.5倍以上!鼻にかけて辛みが抜けるときにその酸味の強さが伝わってきます。

サンドイッチのマヨネーズソース、ローストビーフなどの肉料理や、魚料理の薬味として添えられることが多いです。また、サンドイッチのマヨネーズソース、ドレッシングの香味づけにも使われ、パウダーは日本のわさびの代用品として、粉ワサビや練りわさびなどに使われます。

VOL.710 ピータン 〜用語辞典

ピータンは、アヒルの卵を発酵させて作る中国発祥の食べ物です。

卵を木炭や灰、塩などと一緒に粘土で包んで1ヶ月以上貯蔵、発酵させることで、白身の部分が真っ黒(厳密には茶色)のゼリー状、中の黄身がグレーに色づいた特徴的な見た目に仕上がります。今は、ピータンはアヒルの卵だけでなく、鶏卵やうずらの卵などで作られることもあります。

白身の表面にアミノ酸の結晶によって、松葉や菊の花のような紋様がつくことがあります。松葉の紋様から「松花皮蛋(しょうかピータン)」、菊の花紋様は「菊花皮蛋」と呼ばれることも。これらの紋様がついたピータンは、ときに高級品として扱われることがあるそうです。英語では100年たった古い卵という意味で、センチュリーエッグ(century egg)と呼ばれます。

アンモニアのような刺激臭や独特の風味もありますが、ピータンならではのコクとうま味は、調味料の代わりとしてお粥に入れたり、冷奴にのせて食べたりします。また、サラダと刻んだピータンをドレッシングで和えて食べるのも良いでしょう。

VOL.709 パンチェッタ 〜用語辞典

パンチェッタは、豚バラ肉の塩漬けを乾燥させ、熟成させたものです。

もともと「Pancetta」は、イタリア語で豚バラ肉を意味します。また、製造過程で加熱処理をしないことから、生ベーコンと呼ばれています。

豚バラ肉の塊に荒塩をすり込み、1ヶ月以上熟成と乾燥をさせて仕上げますが、くん煙する場合もあり、「Pancetta affumicata(パンチェッタ・アッフミカータ)」と呼びます。

よくパンチェッタと混同されるのが生ハムですが、使われる肉の部位が異なります。また、ベーコンとの最大の違いは「燻す」という工程の有無にあります。ベーコンが燻製の旨味を味わう食べ物であるならば、パンチェッタは熟成の旨味を味わう食べ物であると言えます。

生ハムと同様に、そのまま生で食べることも可能ですが、一番身近なところではカルボナーラに使うことで知られています。

VOL.708 バルサミコ 〜用語辞典

バルサミコは、ブドウの汁を煮詰めたものからつくる甘みがかった醸造酢。

原材料や熟成期間、産地などによって、味わいや香りが異なり、樽に栓をしないで寝かせるので、年代物ほど濃度も甘みも強くなり、高価になります。

イタリア語の「Balsamico(バルサミコ)」は、英語の「aromatic(かぐわしい、芳香の)」という言葉に対応します。バルサミコは、そもそも殺菌作用に優れた「酢」であるため、薬用として評価が高く、媚薬としても有名でした。

17世紀には、うがい薬にしたり、強壮剤、養毛剤として用いたり、疫病、特にペストに対する予防効果があるとして使用されました。そのため、持ち運びに便利なように小さな樽に入れて売られるようになったようです。特に、サクラ材の樽で長年熟成をさせたバルサミコには、ポリフェノール成分が大量に含まれるそうです。現在でもその名残なのか、メーカーによっては薬の瓶に似た形で売られています。

肉料理や魚料理のソース、サラダのドレッシングに。料理に深みのある美味しさが加わります。調理法によって、必要量を小鍋で弱火にかけて煮詰めてから使うことで、普及品でもより高級品に近い味が得られます。また、サラダなどのあっさりした料理では、熟成が浅く酸味が強いものは、通常の酢に近い使い方をします。

VOL.707 パプリカパウダー 〜用語辞典

パプリカパウダーは、唐辛子の中でも辛味のない品種である、パプリカを粉末状にしたものです。

もとは唐辛子としてスペインからハンガリーに伝わり、品種改良されたことで誕生しました。また、パプリカパウダーの原料となるパプリカは、日本で野菜として流通しているものとは異なります。

鮮やかな赤色の粉末で、甘酸っぱいような快い芳香があり、微かな苦みが感じられます。その色から辛そうに見えますが、辛味はほとんどありません。子供でも食べられるほど辛味がないものの、ピーマンや唐辛子のような風味があります。

スパイスの中でも穏やかな風味なので、さまざまな料理に使うことができ、主な用途としては、色付けや風味付けになります。料理に加えることで、赤色が際立ち、独特の風味も加わります。

鶏肉、魚介、卵、チーズを使った料理のほか、ドレッシング、スープ、サラダ、ピラフなどによく使われます。また、煮込み料理の色づけ、ソーセージの着色にも利用されます。