のぼせ、ほてり、発汗、動悸、疲労感
自律神経の乱れが原因
「突然、身体が熱くなって汗が吹き出る」「暑いと思ったら、しばらくすると背中がゾクゾクする」更新期には、「ホットフラッシュ」に代表される、のぼせ、ほてり、発汗などの体温調整が、うまくできなくなる不調が起こりやすくなります。ほかには、心臓が急にドキドキしたり、めまい、頭痛、疲労感、などを感じることもあります。
こちらは更年期の不調として代表的なもので、自律神経の乱れによって起こります。自律神経は、体温調整や心臓の鼓動といった、生きていくのに欠かせない身体の機能をコントロールしていて、脳の視床下部の指令によって動いています。この視床下部は、さまざまなホルモンの分泌を制御する脳の中枢です。このように視床下部という神経の核を通じて、ホルモン分泌と自律神経系は互いに影響し合ってます。そのため、更年期で女性ホルモンのバランスが崩れると、自律神経系も乱れやすくなるということです。
自律神経系症状の緩和には、心身のリラックスが大切です。入浴はシャワーで済ませず、ぬるめの湯船に浸かるのがおすすめです。就寝の1時間くらい前に入ると眠りやすく、さらに質の良い睡眠につながります。また更年期には、身体面、美容面でどうしても「老い」を感じてしまうことや、人によっては子離れも重なることから、自信が無くなったり、空虚な気持ちになりがちです。このような精神状態の変化が、重なってしまうこともあります。
更年期は誰にでも訪れる一時的なものであり、時期が過ぎれば不調も治ってきます。自分自身を責めず、また家族や友人などの周囲の人にも相談しながら、うまく乗り切ることが大切です。
おすすめ食材と食べ方
抗酸化物質、ビタミン、ミネラル類
自律神経の働きを助ける栄養素は、ビタミンやミネラル類、抗酸化物質です。ビタミンEやC、カロテノイドを豊富に含む緑黄色野菜を積極的に摂りましょう。また、大豆に含まれるイソフラボンは、抗酸化力や女性ホルモンに似た働きを持っているので合わせて摂るようにしましょう。
食事だけでなく適度な運動で効果アップ
健康を保つためには、食事に気をつけるだけでは不十分です。食事をともに適度な運動をして、十分な睡眠が、健やかな生活に必須の3要素になります。とくに運動は、食事とセットで考える必要があります。
例えば、骨粗しょう症の予防には不足しがちなカルシウムや良質のタンパク質、ビタミンDなどの栄養素が欠かせません。さらに速歩や筋トレなど、骨に刺激を与える運動を組み合わせることで、更年期に減少する骨量を効率よく増加させることができます。また、運動をすると全身の血流が上がり、食事で摂った栄養を骨を含めた全身の細胞に届けることができます。
ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動と、筋トレなどの無酸素運動を組み合わせるのが理想的です。できれば週に2〜3回、20分〜30分が目安ですが、大切なことは継続することです。無理のない程度に、日々の生活に取り入れてみましょう。
それぞれに必要な適量の栄養素
+
適度な運動
↓
不調改善
更年期のいろいろな不調
①のぼせ、ほてり、発汗、動悸、疲労感
②骨密度の低下
③イライラ、意欲低下、情緒不安定
④肌の乾燥、シワ
⑤高血圧、脂質異常症
⑥記憶力の低下
症状によって必要な栄養素は異なります
妊娠・出産に備えて身体を整える働きを持つ女性ホルモンは、女性の健康を支える重要な役割も果たしています。更年期は、卵巣機能の衰えにより、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少にともない、心身にさまざまな不調が現れます。
さらに、生活習慣病のリスクも高まります。これは、女性ホルモンのサポートが得られなくなるため、これまでの好ましくない食事や生活習慣の悪影響が体調に現れやすくなります。残念なことのようにも思えますが、自分の生活を振り返り、適切な食事や軽い運動をするなど、生活習慣を改善できるチャンスでもあります。
身体に現れる不調は、栄養不足や摂りすぎを知らせるサインです。人生100年といわれる時代に、更年期後も老化を抑えて、生き生きとした健康な生活を送れるよう、食事や生活習慣を見直してみましょう。
血圧を下げることで疾病予防
カルシウム・カリウム・マグネシウム
高血圧の大きな原因のひとつが、塩分(ナトリウム)の摂りすぎです。塩分濃度を調整するために血液量が増えてしまうため、血管への圧力が高まります。これが過剰な塩分が高血圧を引き起こすしくみです。酢やハーブ、スパイス、ダシなどを上手に使って、食事の塩分量を少しずつ減らしましょう。
食事に取り入れたい栄養素が、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルです。これらは腎臓でナトリウムを尿などで体外に排出させる働きがあります。そのため、カルシウム、カリウム、マグネシウムも高血圧予防に欠かせない栄養素になります。
積極的にミネラルを摂る
牛乳や乳製品、大豆製品などのカルシウム源のほか、カリウム、マグネシウムの多い野菜、海藻、ナッツ類などを摂って、積極的にナトリウムを排出させましょう。
塩分を控えた食事
塩分摂取量の目安は1日6.5g未満です。酢やスパイス、ダシなどで味付けを工夫しましょう。
腸内環境を整え血糖値上昇を抑制
ベジタブル・ファースト
更年期では、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れにより、腸のぜん動運動が起こりにくくなります。腸内の環境が悪くなると太りやすくなったり、肌トラブル、便秘など、ほかの不調にもつながります。
食物繊維は、腸を刺激してぜん動運動を促し、老廃物を体外へ排出する作用があります。また、善玉菌のエサにもなり、腸内環境のバランスを整えたり、血糖値の上昇を和らげたりする働きもあるので、不足しがちな食物繊維を十分に摂りましょう。
食事をするときは、食物繊維が豊富なものから食べる「ベジタブル・ファースト」が推奨されています。食物繊維を先に食べることで、糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の上昇を抑えてくれます。
穀物類や根菜類に豊富な食物繊維
蕎麦などの穀類やゴボウなどの根菜に多く含まれるいろいろな食物繊維は、腸内で水分を吸って膨らみ、不要なものを排出させ、活発なぜん動運動を促す働きがあります。
水溶性食物繊維もバランスよく
善玉菌のエサになるほか、血糖値や中性脂肪の上昇をゆるやかにするのが水溶性食物繊維です。リンゴや果物、オートミールなどに豊富に含まれています。
栄養の代謝や体内の機能調整
サプリメントではなく食事から摂る
ビタミンやミネラル類は、エネルギーのもとにはなりませんが、栄養の代謝や体内の機能調整に関わっており、生きていく上で欠かせない栄養素です。しかし、体内でつくることができないため、食事から摂る必要があります。
ビタミンやミネラルが不足すると、食事で摂った栄養素をうまく使うことができなくなります。例えば、エネルギー代謝に関わるビタミンB2が不足すると、疲れやすくなったり、脳や神経の働きが悪くなったりすることがあります。また、鉄分が不足するとスタミナ不足の原因になります。あまりサプリメントに頼らず、できるだけ食事から摂りましょう。毎日偏ることなく、色々な種類の食材から必須栄養素を摂りましょう。
抗酸化ビタミンACE
抗酸化ビタミンの中でも脂溶性のビタミンが多いのが、緑黄色野菜やウナギ、タラコなどです。油との相性がよいので加熱調理が効率的です。
ミネラルを含む食材を積極的に
亜鉛、銅、セレン、マンガンは体内の抗酸化システムに重要な栄養素です。これらが豊富な牛肉、牡蠣、魚介類や海藻、ナッツ類、蕎麦を積極的に摂りましょう。
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