「女性ホルモン」カテゴリーアーカイブ

VOL.958 更年期のいろいろな不調③

イライラ、意欲低下、情緒不安定

セロトニンが不足や視床下部の変調

更年期で起こる気分の浮き沈みやイライラ、不眠、意欲低下などの精神神経症状には、さまざまな原因が考えられます。

まず、エストロゲンの減少による自律神経への影響です。女性ホルモンのエストロゲンは、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きにも関わっています。これらの神経伝達物質は幸福感や生きる意思を司っているホルモンの一種です。そのため更年期にエストロゲンが減少してくると、憂うつな気分や意欲の低下、疲労感を感じやすくなります。さらに、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、寝ても疲れがとれないなど、睡眠にも影響がでてきます。

更年期は子どもの自立や親の介護など、生活環境面でも大きな変化を迎える時期でもあり、外で働く女性が増えた現代では、仕事上の悩みや不安を抱える人も多いでしょう。更年期は女性のターニングポイントとなりますので、「女性としての魅力が減少してしまう」という心配も大きなストレスとなるでしょう。

これらの対処法は、まずは自分の状態を「女性ホルモンの減少による、誰にでも起こる現象」として受け止めることが大切です。周りの人たちもそのことに理解を示しましょう。そして、自分がリラックスできるものや居心地の良い環境を見つけたり、できるだけ規則正しい生活を心がけます。屋外で散歩するなど軽く体を動かし、活動と休息のメリハリをつけることで、気持ちや睡眠にも良い影響にはたらきかけます。

症状がひどい場合は、迷わず医者に相談をしましょう。

おすすめ食材と食べ方

抗酸化物質、ビタミン類、ミネラル類

セロトニンのもとになる必須アミノ酸のトリプトファンを含む食材や、トリプトファンをセロトニンに変換する際に必要な必要なビタミンB群、C、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛などを含む食材を、バランスよく摂りましょう。

VOL.931 女性ホルモンの減少と心身の不調②

40代後半ごろから徐々に出る不調

動脈硬化

血管の柔軟性を保つ働きが低下し、動脈硬化を起こしたり、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まります。

メタボリックシンドローム

血中コレステロールや脂質を抑える働きの低下によって、内臓脂肪が増えてメタボや肥満の傾向になります。

骨粗しょう症

骨からカルシウムが溶け出し、骨の内部がスカスカになります。骨折しやすくなり、要介護になりやすい。

肌の不調

コラーゲンの生成や新陳代謝がうまく行われなくなり、たるみ、くすみなどの悩みが生じます。

シワ・シミの増加

水分保持力が減少し、肌が乾燥しやすくなり、カサつきやシワの原因に。シミも目立つようになります。

毛髪の減少

髪が細くなり、ハリやツヤがなくなってボリュームが減少します。抜け毛によって量自体も少なくなります。

自律神経失調症

自律神経の働きが乱れ、ほてりやのぼせ、発汗、冷え、頭痛、倦怠感などの不調が表れます。

不眠

ほてりや発汗などにより寝つきが悪くなり、何度も目が覚めるなど、不眠も起きやすくなります。

VOL.930 女性ホルモンの減少と心身の不調①

急激な減少によって起こる様々な不調

閉経前後の約10年間を更年期といいます。女性ホルモンが急激に減少するために、様々な不調が生じて、老化が加速します。それまで女性ホルモンによって守られてきた種々の機能の衰えなどから、内臓脂肪型肥満や高コレステロール血症、高血圧などのメタボリックシンドロームが急に発症しやすくなります。

更年期はこれらの病気のリスクが高まってきます。誰でも迎える更年期のせいだと放置せずに、老化が急速に加速する入り口に入ったのですから、末長い健康と若さを保つために、これらを少しでも食い止める食生活や運動を始めましょう。

VOL.929 女性ホルモンの大きな役割②

血管系、骨、皮膚、神経系を若く保つ

妊娠を助ける

排卵期に子宮内膜を厚くして、受精卵の着床を促すほか、体温を上げて受精卵が育成されやすい環境をつくります。妊娠しない場合は子宮内膜が体外に排出されて、生理となります。

老化を遅らせる

ツヤツヤした髪の潤いと弾力のある肌などといった、若々しさを維持するのも女性ホルモンの働きです。細胞の新陳代謝や皮膚のコラーゲンの生成にも関与しています。

健康維持に役立つ

血中コレステロールを抑える、カルシウムが骨に沈着するのを助けて、強い骨を作るなど、女性の健康維持増進に役立ち、生活習慣病のリスクを抑えています。

VOL.928 女性ホルモンの大きな役割①

女性ホルモンは卵巣で作られる

女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、いずれも脳の視床下部からの指令を受けて、卵巣から分泌されます。ふたつのホルモンは異なる役割を受け持っています。それぞれの分泌量が増えたり減ったりすることで、約1ヵ月間の月経周期やそれに伴う身体の変化がつくられます。

エストロゲンが増えるのは、生理が終わった後から排卵までの「卵胞期」です。排卵に備えて子宮内膜が増殖して厚くなります。この時期は、心身の状態がともによくなる傾向にあります。

排卵後、プロゲステロンが分泌されます。プロゲステロンは妊娠しやすい身体を維持するために、栄養や水分を体内に蓄えようとします。この頃、月経前症候群などが起こるのもこのためです。しかし妊娠しなかった場合は、ふたつのホルモンが減り、生理が始まります。

エストロゲン

排卵前に分泌量が増えるのがエストロゲン(卵胞ホルモン)です。女性らしさを作るホルモンでもあります。思春期になると丸みを帯びた体つきになるのも、このホルモンの働きです。また、髪や肌の美しさを保つ役割もあります。

プロゲステロン

排卵直後から分泌量が増えるのがプロゲステロン(黄体ホルモン)です。妊娠に備えて体温を上昇させたり、子宮内膜を受精卵が着床しやすいようにします。妊娠すると分泌が続き、受精卵が育成されやすいように子宮の環境を整えます。

VOL.927 女性ホルモンの役割と不調の関係

40代後半から起こる変化

女性の「更年期」は体調の変化が起こる大切な時期です。期間は50歳前後の閉経を挟み、約10年間ほど。閉経に向けて、月経のリズムをつくり出している女性ホルモンが減少していく過程で月経不順が起こり、様々な体調の変化があらわれます。

ほてりやめまいのほか、うつなどの症状を訴えることもあります(更年期の症状)。変化の表れ方はひとそれぞれで、個人差があります。更年期における変化はホルモンの減少だけでなく、環境やライフスタイルの変化、ストレスなどの要因も絡んでくるからです。

例えば子離れや仕事における転機など、女性としてのライフステージと更年期が重なる人もいます。心の状態や環境の影響を大きく受けるため、ほとんど変わりなく過ごせる人もいれば、とても辛く感じる人もいるわけです。日常生活を送ることさえ辛い状態になると「更年期障害」と呼ばれ、治療が必要になることもあります。