「脂質」カテゴリーアーカイブ

VOL.961 更年期のいろいろな不調⑥

記憶力の低下

記憶を司る海馬の働きが低下

うつやイライラといった精神神経症も更年期の不調のひとつですが、それと同時に「もの忘れ」が起こりやすいことも分かってきました。エストロゲンは脳に作用する働きがあり、中でも記憶や学習を司る「海馬」や、恐怖や不安などの感情をコントロールする「扁桃体」などに影響を与えています。

更年期にエストロゲンが減少すると、海馬で合成される神経伝達物質が減少してしまい、記憶力や認知機能が低下します。エストロゲンは海馬の神経細胞を保護する働きがあるので、減少することで記憶力に影響すると考えられています。

もの忘れが多くなって困るのが、約束や予定をすっぽかしてしまうことです。対策として、カレンダーなどに目立つように書いておき、常にチェックする習慣をつけるようにしましょう。

また、脳の機能低下は、頭を使うことである程度食い止められます。例えば、人の名前などが思い出せないときに、すぐに人に聞いたり調べたりすると、頭を使ったことになりません。どんな漢字が使われているか、その人の名前から浮かんでくるイメージなど、周辺情報の記憶をたどりながら、思い出す努力をしましょう。その過程で脳のさまざまな機能が使われ、機能が維持されます。

おすすめ食材と食べ方

良質な脂質、ビタミン類、ミネラル類

脳の血流をよくする栄養素で、脳の若さを保ちましょう。DHA、EPAなどの良質の脂質を含む青魚やびたみんB群、ビタミンA、E、亜鉛など積極的に摂りましょう。

VOL.960 更年期のいろいろな不調⑤

高血圧、脂質異常症

閉経以降は生活習慣病のリスクが高まる

卵巣でつくられている女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の主要な働きは、妊娠・出産の準備のために身体を整えることです。また、肝臓などの臓器や血管などを健康に保ち、女性の身体をさまざまな病気から守るという大切な役割も果たしています。

具体的には、エストロゲンには悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。そのためエストロゲンの分泌が低下する40代半ばからメタボリックシンドロームの因子が増えていきます。食事の内容は若い頃から変わっていないのに、コレステロール値、血圧、血糖値など健康診断の数値に異常が現れます。

体型も気になりはじめ、ぽっこりとお腹だけが出る内臓脂肪蓄積型肥満へと変化します。一番重大なことは、高血圧や高コレステロール、高血糖などが重なっていくと、より深刻な疾患につながるということです。血管の壁が厚く、かたくなる動脈硬化を発症し、やがて心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害を起こす原因となります。

食事面は、これまで摂りすぎていた塩分や脂質の摂取量を摂りすぎないように意識して気をつけましょう。また、適度な運動を習慣化することも大切です。ウォーキングや軽い筋トレなど取り入れるほか、家事などでできるだけ身体を動かす意識をもつようにしましょう。

おすすめ食材と食べ方

低塩、良質な脂質、ビタミン類、ミネラル類

塩分を控えめにして、青魚などから良質な脂質を効果的に摂取しましょう。さらに代謝を助けるビタミンB群(B2、B6、B12、葉酸)やビタミンC、ミネラルもバランスよく摂りましょう。

VOL.947 更年期に重要な栄養素②〜脂質

良質な脂質

栄養素の循環と代謝を活発にする

カロリーの高い脂質はダイエットの敵として、体重が増えることを気にして控える人も多いことでしょう。ただし、脂質も三大栄養素の一つとして、体内で重要な役割を担っています。例えば、更年期に減少する女性ホルモンなど、体内で分泌されるホルモンは脂質から作られているものもあります。また、脂質は身体の基礎となっている細胞膜の材料でもあります。不足すると、細胞膜の機能が働きが悪くなり、必要な成分を細胞内に取り込みにくくなって、肌がガサガサになります。

不足しがちな良質な脂質は必須成分です。質の悪い脂質を摂りすぎると悪玉コレステロールや体脂肪が増える原因となります。良質な脂質を適度に摂り、細胞や血管を健やかに保ちましょう。

DHAとEPAの豊富な青魚

アジ、イワシ、サバなどの青魚に含まれるDHA、EPAは良質な脂質です。血液や血管を良好に保ち、脳の神経機能を高める働きもあります。

不足しがちなオメガ3系脂肪酸

EPA、EPA、α-リノレン酸などのオメガ3系の摂取を意識しましょう。

VOL.940 女性の食事摂取基準②

更年期以降の女性が摂る主な栄養素

エネルギー

推定エネルギー必要量(kcal / 日)

□30〜49歳 1,750
□50〜64歳 1,650
□65〜74歳 1,550

タンパク質

推奨量(g / 日)

□30〜49歳 50
□50〜64歳 50
□65〜74歳 50

脂質

目標量(範囲)(%エネルギー / 日)

□30〜49歳 20〜30
□50〜64歳 20〜30
□65〜74歳 20〜30

炭水化物

目標量(%エネルギー / 日)

□30〜49歳 50〜60
□50〜64歳 50〜65
□65〜74歳 50〜65

塩分

推奨量(食塩相当量)(g / 日)

□30〜49歳 6.5未満
□50〜64歳 6.5未満
□65〜74歳 6.5未満

カルシウム

推奨量(mg / 日)

□30〜49歳 650
□50〜64歳 650
□65〜74歳 650

ビタミンD

推奨量(ug / 日)

□30〜49歳 8.5
□50〜64歳 8.5
□65〜74歳 8.5

食物繊維

推奨量(g / 日)

□30〜49歳 18以上
□50〜64歳 18以上
□65〜74歳 17以上

※出典 日本人の食事摂取基準(2020年版)より

VOL.934 エネルギー源となる三大栄養素

炭水化物(糖質)

すぐ活用できるエネルギー源

穀類(ごはん、パン、麺)、イモ類、砂糖などの主成分です。炭水化物は生きていくための主要なエネルギー源です。エネルギーが必要となるのは運動の時だけではありません。休息しているときも、心臓や肺、脳などあらゆる臓器に絶え間なくエネルギーを供給しています。

食事から摂った糖質は血中に入り、血糖となって全身をめぐり、各臓器の細胞を動かすエネルギー源となります。まさに「命の源」と言えるでしょう。この重要な糖質を、日本では古くから主食として、ごはんから摂取しています。

タンパク質

身体をつくる成分

肉、魚、卵、大豆、大豆製品から摂取します。タンパク質は腸でアミノ酸に分解され、血液によって全身に運ばれて、筋肉や骨格、臓器、皮膚、毛髪などの細胞を合成します。身体を構成するアミノ酸は20種類あり、その中で体内ではつくられず、食事から摂らなければならない9種類のアミノ酸が「必須アミノ酸」と呼ばれています。9種類の必須アミノ酸をすべて含むタンパク質が「良質なタンパク質」といい、肉や魚、卵、大豆、大豆製品などに多く含まれています。

脂質

エネルギーの貯蔵庫

ごま油などの油脂や肉、魚に含まれるエネルギー成分です。体に蓄えられる脂肪エネルギーの貯蔵庫としての役割を果たします。ただし、過剰摂取やコレステロールの摂りすぎは、肥満や動脈硬化、糖尿病などのリスクを高めます。

一方で、細胞膜やホルモン、脳の材料になるなど、身体に欠かせない栄養成分でもあります。良質な脂質には動脈硬化を予防する働きもあります。更年期以降は過剰摂取に気をつけて、身体の機能に必要な良質な脂質を選びましょう。

三大栄養素には相互変換がある

炭水化物、タンパク質、脂質は、それぞれバランスよく摂取するのが理想です。ただし大切な栄養素であるが故に、体内には不足しがちなため、「相互変換」する機能があります。例えば、タンパク質が極端に不足したときには、肝臓で炭水化物からタンパク質が合成されて不足を補います。また、炭水化物を制限しても、脂質やタンパク質から糖質へと変換されます。こうした栄養素の代謝に必要なのがビタミン類やミネラル類です。

VOL.933 五大栄養素と機能性成分

人間が生きていくために必要な栄養素

年齢を重ねるとダイエットや美容だけでなく、健康のことが一番気になってきます。メディアやインターネットには「健康にいい」とされる様々な情報が溢れているので、何を信じたらいいのかわからなくなる人も多いことでしょう。

まず、栄養の基本的なことを理解しておきましょう。私たちが生きていくために必要なものは、「糖質(炭水化物)」、「タンパク質」、「脂質」の三大栄養素に加え、「必須ビタミン」と「ミネラル」をあわせた「五大栄養素」が欠かせません。不足するとスタミナ切れや免疫力の低下、肌荒れ、抜け毛といった不調につながり、やがては重大な病気を引き起こすことにもなりかねません。

また、五大栄養素のほかに健康を支えているのが、食物繊維と植物性食品の色素に含まれる機能性成分です。「ポリフェノール」「カロテノイド」「フラボノイド」などです。

更年期になると、これらの栄養素を過不足なく、バランスよく摂ることがとても重要になります。更年期がくる前から意識して摂るようにしましょう。

人間の体に必要な栄養素

[五大栄養素]

 炭水化物
 タンパク質
 脂質

   +

 ビタミン類
 ミネラル類

   +

[機能性成分]

 食物繊維
 植物性食品の色素