VOL.214 日常に潜むさまざまなダメージ① 熱

濡れた髪は最弱、少しの熱でもすぐ傷む

髪の主成分であるケラチンタンパク質は、とても丈夫で、硬タンパク質と呼ばれているほどです。でも、いくら丈夫とはいっても、やはり限界があります。乾いた状態では180℃、湿った状態では130℃からタンパク質に変性を起こし、さまざまなダメージがあらわれてきます。

髪が水分を含んでいると低温でもダメージを受けやすいので、アイロンなどで濡れた髪をスタイリングするときは温度設定に注意が必要です。

熱で変化した髪の断面

毛髪の中心にぽっかり穴が空いてしまいます。その周辺にも空洞ができてコルテックスはスカスカになります。

VOL.213 キューティクルはツヤを生み傷みから髪を守る

ヘアダメージをもたらす4つの敵

どんな髪型・髪質の人でも、何よりイヤなのが髪の痛みです。よく健康な髪にするためのトリートメントなどに、キューティクルを整えると書いてありますが、そもそもなぜキューティクルが大事なのでしょうか。

まず、毛髪のもっとも表面にあたるため、ツヤや手触りのなめらかさに直結するからです。そしてもう一つは、外敵から毛髪を守る役割を果たしているからです。キューティクルが乱れてしまうと、その内側にあるコルテックスがあらわになり、マトリックスというタンパク質が流出して水分保持力が落ち、髪はパサつき、ダメージヘアへまっしぐら。逆にキューティクルが整っていれば、外からのさまざまな刺激にも抵抗してくれるので、強い髪でいられるのです。

キューティクルは、暑く密なのが理想の状態です。その重なりは通常4〜6枚ですが、なかには8枚ある人もいて、反射率が高い分、髪がツヤツヤに見えます。残念ながら日本人の髪はキューティクルの厚みも密度も低く、ダメージを受けやすい傾向があります。まずは4つの敵を避け、キューティクルを守りましょう。

VOL.212 毛髪内部の3つの結合

枝毛をイメージするとわかりやすいのですが、髪の毛は縦に裂ける性質があります。それを防ぐように、髪の内部には鎖のような結合が、いくつも横につながっています。

その一つが水素結合です。たとえば寝ぐせは水で濡らしてからブローすると真っすぐになります。これは水素結合を水でゆるめ、ゆるんでいる間に新しい形をつくり、乾かして再結合させているからです。このように髪はさまざまな結合で支えられています。

水素結合

水で簡単に切断され、乾燥すると再び結びつく、比較的弱い結合です。湿気の多い日にスタイルが決まらないのは、結合が切れて形が自由になります。

シスチン結合

シスチンというイオンを含むタンパク質同士が結合します。パーマなどの還元剤で切れますが、酸化するとともに戻ります。

イオン結合

陽(+)イオンと陰(−)イオンによる結合です。弱酸性であるpH4.5〜5.5の範囲を外れて酸性やアルカリに傾くと結合が弱まったり、切断されたりします。

VOL.211 毛髪の構成成分

毛髪の80%は、複数のアミノ酸からなるタンパク質でできています。
皮膚の主成分は、コラーゲンタンパク質で、毛髪の主成分はケラチンタンパク質と種類が異なります。

髪の毛は1日に0.4mmづつ伸びます。頭髪全体で34m分のケラチンタンパク質が毎日生産されています。すこやかな髪を育てるにはアミノ酸やタンパク質を、ヘアケア製品からも積極的に摂取することが大事です。

ケラチンタンパク質 80%

他のタンパク質にはあまり存在しない、シスチンというアミノ酸を多く含んでいるのが特徴です。化学薬品に比較的強く、弾力性にも優れています。

水分 10〜15%

乾いているように見える髪も、じつは内部に水分があります。髪がダメージを受けると水分保持力は弱まるが、NMFという天然保湿因子が水分を一定に保っています。

メラニン色素 3%以下

コルテックス内のケラチンタンパク質と混じりあい、髪の色を決定づける要素です。主にキューティクルの近くに分布しています。サイズが大きく、量が多いほど、髪色は黒くなります。

その他

脂質や微量元素など

VOL.210 毛髪の3層構造

コルテックス(皮質)

毛髪の内部を形づくる組織で、髪の90%を占めています。水となじみやすい性質をもち、パーマやヘアカラーは、主にこの部分に作用しています。

メデュラ(髄質)

毛髪中心部の組織で、空洞の多いところです。パーマのかかりやすさや、太さにまで深く関係するといわれています。太毛には存在し、細毛には存在しないことが多いようです。

キューティクル(毛小皮)

毛髪表面を覆う組織で、保護膜のような透明でかたいウロコ状のものです。4〜6枚が重なり、外部刺激から髪内部を保護します。パーマ剤などの薬剤の浸透を妨げる働きもあります。

メラニン色素とは

コルテックス内にあり、髪の毛の色を決定する色素です。ヘアカラーはメラニンを分解・脱色しておこなわれます。

のり巻きのような構造髪の構造は巻き寿司に似ています。

のり…キューティクル
ごはん…コルテックス
具…メデュラ
※キューティクルがはがれることで髪のダメージは進行します。

VOL.209 毛髪は3層でできている

髪のしくみを知ることが一生の美髪につながる

髪の毛がいったい何からどうやってできているかご存知でしょうか。
キューティクルなら耳なじみあるけど、それ以外は、という人も多いのではないでしょうか。

まず構造や特性から髪を理解すれば、適材適所のお手入れができます。たとえば、トリートメントはどこに効かせるもの。などがわかり、意識できるようになると、アイテム選びもより的確になります。今知っておけば一生役立つ、髪のしくみを学んでいきましょう。