「BEAUTYGRAPH」カテゴリーアーカイブ

Vol.71 美白成分を含むものを

美白化粧品とは、美白成分がきちんと配合されているものをさします。パッケージの色や商品名の雰囲気だけで選んでしまうと、美肌成分が入っていないことがありますので、よく確認してから購入してください。

紫外線によるシミ
紫外線にあたると、肌の中で「メラニンをつくれ」という指令が出ます。そしてメラニン色素がつくられ始めるのですが、このメラニン色素を製造するプロセスを、どこかで抑える働きをするのが美白成分になります。ただし、同じ美白成分といっても、成分ごとに働きかけるタイミングが異なります。

美白というと、肌全体を真っ白にしてくれるものと思いがちですが、それは誤解です。メラニンの生成を抑えるのが美白成分の働きですから、ニキビ跡の赤みやメラニン色素によらない色は、薄くすることはできません。

シミができる流れと美白成分のはたらき

①メラニンをつくる指令が出る
紫外線が表皮細胞にあたると、肌の内部を守ろうとして「エンドセリン」などの情報伝達物質が分泌されます。これらの物質がシミのもととなるメラニンをつくれと指示を出します。

指令物質を抑制する成分
エンドセリンなどの情報伝達物質の働きの邪魔をします。
・カモミラET
・トラネキサム酸
・t-AMCHA(tシクロアミノ酸誘導体)
など

②メラニンをつくり始める
エンドセリンなどの情報伝達物質がメラノサイトに届くと、メラノサイトの中でメラニン色素をつくり始めます。はじめにつくられるものが「チロシン」というアミノ酸です。次に、メラノサイトにのみ存在する「チロシナーゼ」という酸化酵素が働いて、すぐにメラニン色素に変化します。

チロシナーゼの働きを抑える
美白化粧品のほとんどがこれに該当します。
・アルブチン
・コウジ酸
・エラグ酸
・ルシノール
・ビタミンC誘導体
・プラセンタエキス
・トラネキサム酸
・油溶性甘草エキス(グラブリジン)
など

チロシナーゼを減らす
メラニン色素に変化してしまう、チロシナーゼ自体を減らすような働きをします。
・リノール酸など

③表皮細胞へ送られる
メラノサイトでつくられたメラニン色素は、表皮細胞へと徐々に受け渡されていき、ターンオーバーとともに角層へと上がっていきます。

ターンオーバーで排せつ
通常メラニンはターンオーバーとともに排せつされていきます。しかし、何らかの影響でメラノサイトの過剰な活動がおさまらずに、メラニン色素がつくられ続けてしまうと、シミとなってしまします。ほかにも、ターンオーバーが遅くなってメラニン色素が残ってしまう場合もあります。

つづく…

Vol.70 シミのタイプとお手入れ

老人性色素斑

特徴
シミの中でもっとも多いのがこのタイプです。別名:日光性黒子とも呼ばれ、紫外線の影響でできてしまうものです。頬ぼねの高いところにできやすく、数mm〜数十mm大の、まるい色素斑であることが多いです。しだいに濃く、はっきりしてくるのが特徴です。何年も経つうちに隆起してくることがあり、のちに脂漏性角化症になることもあります。

美白化粧品の効果
ごく初期のうっすらとしたものには、美白化粧品が効果を発揮しますが、定着してしまったものは、皮膚自体が変化しているため化粧品で消すことはできません。

有効な治療法
シミの輪郭がはっきりしてきたものは、レーザー治療でないと消せなくなります。
 

脂漏性角化症

特徴
シミからイボのように盛り上がってきたものです。よく見るとイボの表面がボツボツしているのが特徴です。手の甲などにできる茶色いシミも、これに相当するものが多いです。

美白化粧品の効果
皮膚の形態が変化してしまっているので、美肌化粧品では効果はありません。

有効な治療法
レーザー治療のほか、液体窒素による凍結療法で、消せる場合もあります。
 

雀卵斑

特徴
一般的には小さいシミのことを”ソバカス”と呼んでいますが、厳密には遺伝的なものだけをさします。遺伝的なソバカスは10代のころからできはじめて、小さく茶色いシミが花を中心に散らばるようにできるのが特徴です。よく見るとシミのひとつひとつの形が、円というよりは三角形や四角形になっています。白人系に多くみられますが、日本人でも比較的、色白の人に多いようです。

美白化粧品の効果
理論的には、美白化粧品の効果が出るのですが、遺伝的要素が強すぎるためか、あまり薄くならないようです。

有効な治療法
レーザー治療で消すこともできますが、再発することもあります。
 

炎症性色素沈着

特徴
ニキビの跡やキズ跡などがシミになって残ったものです。足や腕にできた虫刺されの跡がシミのようになって消えないことがありますが、これも同じものです。そのほかムダ毛を手抜きすると、毛穴のまわりが炎症を起こして、黒く跡がのこるのもこのタイプになります。

美白化粧品の効果
美白化粧品が有効なタイプです。効果のある成分はビタミンC誘導体になります。

有効な治療法
ピーリングが効果的です。そのままにしていても消えることがありますが、消えるまでに2、3年かかることもあるので、そのあいだに日焼けしていまうと、シミが消えにくくなってしまします。
 

肝斑

特徴
女性ホルモンのバランスがくずれたときに、頬ぼねのあたりにモヤモヤと左右対象にできることが多いです。色は茶色や灰色などさまざまなタイプがありますが、ときどき鼻の下や額に出ることもあります。妊娠中やピルを服用したとき、更年期の人に大きみられます。

美白化粧品の効果
美白化粧品が有効なタイプです。ピーリングや内服薬と併用すると、より早く効果がえられます。

有効な治療法
トラネキサム酸という薬を、数ヶ月服用すると薄くなることが多いです。漢方薬が有効なこともあります。レーザー治療には不向きのタイプです。

花弁状色素斑

特徴
海などで急激に日焼けしたあとに、肩から背中にかけてできる小さなシミのことです。よくみると円型ではなく、花びらのような形をしていることから、こう呼ばれています。

美白化粧品の効果
美白美肌化粧品ではほとんど効果はありません。

有効な治療法
レーザー治療をするのが確実です。そのほかの方法で消すのは難しいようです。

つづく…

Vol.69 シミの悩み

みなさんが呼んでいる「シミ」とは、顔にできた茶色っぽく見えるもの全般をさしているのではないでしょうか?その中には、ホクロやイボに相当するものもシミと呼ぶ人もいます。

シミの種類はいろいろある
一般的にシミと呼ばれるものは、医学的には「老人性色素斑」「脂漏性色素斑」「脂漏性角化症」「雀卵斑」「炎症性色素沈着」「肝斑」「花弁状色素斑」などが含まれます。詳しくは次回からお話ししますが、自分のシミがどれに当てはまるのかによって、シミの原因やお手入れの方法が変わってきます。ご自分がどのタイプに当てはまるのかを、よく見極めることが先決となります。

美肌成分が効かないものもある
シミといえばなんでも美白化粧品でお手入れすれば良いと思っている人も多いようですが、シミの中には美肌成分が効くものと、効かないものがあります。

たとえば、老人性色素斑(初期のもの)、炎症性色素沈着、肝斑、雀卵斑には美白化粧品が有効です。美白化粧品を使っているのに効果がない。と感じている人は、自分のタイプを見極める必要があります。

美白化粧品が効かないシミの場合にも、解消方法があります。次回、シミのタイプを詳しくお話ししますので、まずは自分のシミのタイプを判別してみましょう。

カン違いスキンケア
×美白化粧品を使うのは夏だけ
×日焼け止め化粧品はほとんど使わない
×日焼けしたなと感じたら、美白マスクを使う

シミの中でもっとも多い「老人性色素斑」は、紫外線の影響でできます。シミ対策の第一歩は、紫外線のダメージから肌を守るUVケアから始めましょう。

つづく…

Vol.68 ニキビ跡を薄くする

ニキビ跡とよばれているものは、大きく分けると3つあります。あきらめないでニキビ跡のお手入れをしましょう。

赤みが残るタイプ
ニキビが炎症を起こして赤みが出てしまい、ニキビがほぼ治っても、いつまでも赤みが残ってしまう。その赤みは何年も、場合によっては10年くらい残ってしまします。できるだけ早く消すには、ビタミンC誘導体の化粧水やイオン導入が効果的です。

シミが残るタイプ
こちらは炎症性色素沈着によるもので、何年かかけて消える場合もあれば、そのまま残ってしまうこともあります。このとき日焼けしてしまうと消えにくくなりますので、紫外線対策を万全にしてください。美白化粧品も有効ですが、専門医によるピーリングを受けると、とても早く改善します。

陥没が残るタイプ
これは自分で行うお手入れでの改善はとても困難になります。美容皮膚科などで相談してみましょう。ピーリングやレチノイン酸の塗り薬、各種レーザーを使った治療が効果を上げています。

つづく…

Vol.67 漢方薬とニキビケア2

大人ニキビによく使われる漢方薬

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
体をあたため、貧血症状を改善する漢方薬です。一般的に女性に用いることが多く、色白や冷え性、やせ型で体力のあまりない人に向いた処方になります。むくみやすい体質や生理の遅れがちな人にも効果があります。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)
冷えのぼせ、生理不順、更年期障害などに用いる漢方薬です。どちらかというと女性向けで、体が虚弱で疲れやすく、頭痛や肩こり、イライラや不安感をともなうときに向いた処方になります。血液循環をよくして体をあたためる一方で、のぼせなど上半身の熱をさまします。不定愁訴(明確な原因がないのに、肩こり・目まい・腰痛など体の不調を訴えること。)のあるひとに効果的です。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
血行をよくする漢方薬です。おもに、生理不順や生理痛、更年期障害、のぼせなどの症状の人に用いられます。どちらかというと女性向けで、体格がわりとしっかりした赤ら顔の人に向いています。生理前の肩こりやイライラなどの症状があり、生理の思いタイプの人に効果があります。

漢方では、血行障害や鬱血を“お血”(おけつ)という概念でとらえ重視します。女性の月経トラブルを含め、いやゆる“血の道症”には、この“お血”を改善する漢方薬がよく使われます。その代表が桂枝茯苓丸になります。

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
ちくのう症や慢性鼻炎、にきびなどに用いる漢方薬です。顔全体に皮脂が多く、赤ら顔で小さいニキビがたくさんできている、炎症をともなうニキビや湿疹などに適応します。体の熱やはれをひき、病因を発散させ血液循環をよくします。いわゆる腺病体質を改善します。

清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
ニキビに用いる漢方薬です。若い人や男性のニキビに効果的で、赤みのあるニキビがたくさんできている人に向いています。顔の熱や炎症をとり、また皮膚病の病因を発散させる働きがあります。体力のある人で、赤ら顔の人に向く処方となります。

十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
腫れ物や湿疹、皮膚炎などに用いる漢方薬です。皮膚の赤みやカユミを発散し、腫れや化膿をおさえます。背中やおりしに、おできのような痛いニキビができる人に向いています。そのようになりやすい体質を改善します。ただし、便秘の人にはこの処方が効きませんので、まず便秘を改善することから始めましょう。

まずは入手しやすい薬局やドラックストアで買った漢方薬を試すのもいいでしょう。それで効果が得られないようでしたら、保険も適用されますので、漢方をあつかう病院で相談してみましょう。

つづく…

Vol.66 漢方薬とニキビケア

自然治癒力を高める
漢方薬の基本的な効果は、体内のバランスをとって、自分自身のもつ自然治癒力を高めることにあります。ニキビケアの場合には、ホルモンバランスを整えたり、皮膚の免疫力を高めたりする漢方薬を用います。

体の内側から改善する
前にもお話ししましたが、大人ニキビの原因はホルモンバランスの乱れからきます。ストレスや睡眠不足、不規則な生活、食生活の乱れなど、ちょっとしたことの積み重ねで生じてきます。そのため、体の内側から改善してくれる漢方薬が役に立ちます。

血行不良を改善する
漢方薬の処方は、その人の体質や症状によって異なります。同じニキビでも処方はひとりひとり異なりますが、大人にキビに悩む女性の多くは、”瘀血(おけつ)”体質になります。瘀血とは、簡単にいうと血行不良のようなものです。冷え性や日ごろからの頭痛、肩こり症、激しい生理痛、イライラのあるひとは瘀血体質の可能性があります。

瘀血体質ですと、生理前はとくに血行が悪くなり、どうしても滞りがちになります。そのためにニキビができやすかったり、悪化しやすかったりするのです。この瘀血体質を漢方薬で緩和すると、ニキビの根治に効果をしめす場合が多いとのことです。

つづく…