牛・豚の脂肪の摂りすぎに注意
良質な脂質を摂るように意識づける
更年期は、LDL(悪玉)コレステロール値が上昇しやすく、動脈硬化などを引き起こしやすくなるので、脂質の摂りかたに注意しましょう。優先して摂りたい脂質は、青魚の油や、えごま油、あまに油といったオメガ3系の良質な脂質です。
良質なタンパク質は積極的に摂る必要がありますが、豚肉や牛肉は部位によって脂肪が多く、食べすぎると動物性脂肪の摂りすぎにつながるので、注意しましょう。鶏肉なら胸肉やささみ、豚肉や牛肉はもも肉やヒレ肉などの赤身を選びましょう。ひき肉は脂肪がどれくらい入っているかわからないので、鶏なら胸肉、豚、中なら赤身を選びましょう。
良質なタンパク質を摂る
毎日摂るように意識づける
更年期の女性は、とくにタンパク質をしっかり摂ることが大切です。筋肉を維持するためには、目安として体重1kgにつき1gのタンパク質が必要とされています。体重50kgの人は50gとなり、この量を1日に摂るのは意外と大変です。まず、3回の食事からタンパク質量が、どれだけ摂れているか把握してみましょう。
例えば、肉や魚介類なら脂肪分の少ない部位で、それぞれ100g当たり約20gのタンパク質を含んでいます。大豆製品はタンパク質量はいろいろですが、カルシウムや抗酸化物質を含んでいるので、週2回以上摂るようにしましょう。
毎日の体重をチェックする
食べすぎないように意識づける
更年期では基礎代謝が落ちるため、食べすぎたカロリーが体脂肪として蓄積されやすくなり、内臓脂肪として蓄えられます。一方では、栄養素の吸収率が徐々に下がっていくため、適正カロリーを守りながら栄養素を過不足なく摂るという、バランスをとるのが重要になります。
体重はそれを教えてくれる目安になります。できるだけ毎朝の起床時に測定し、メモする習慣をつけましょう。体重が増加傾向にあれば、食事の内容や量を見直してみましょう。
基本の献立「一汁三菜」
主食、主菜、副菜に加えて乳製品や果物も
基本の献立は「一汁三菜」です。つまり、主食と汁物、主菜と副菜など3つのおかずを組み合わせた食事のことです。食材の種類が増え、摂れる栄養素も自然と多くなり、全体として彩もよく、栄養バランスが整うようになります。
主菜は肉や魚などのタンパク質を中心としたおかずにして、副菜や汁物には野菜や海藻などを使い、ビタミンやミネラルを補うようにします。主菜が植物性タンパク質の豆腐などの場合は、副菜や汁物に動物性タンパク質をプラスしましょう。
主食は、ごはん、麺類、パンなどですが、真っ白く精製されたものよりも玄米、全粒粉、胚芽入りを選ぶと、ビタミンやミネラル類、食物繊維が増えます。
基本の献立に加えてデザートや間食には、乳製品や果物を組み合わせましょう。更年期に摂りたいタンパク質、カルシウム、そのほかのミネラル、ビタミン類、抗酸化物質を補えるようになります。
一食で考える基本の献立
まずは、1食分の基本の献立を覚えましょう。主食、主菜、副菜、汁物を揃えると栄養バランスの確保がしやすくなります。
主食
ご飯や麺類、パンなど。
三大栄養素のひとつである炭水化物は、エネルギー過多にならないように気をつけながら毎日摂ることが大切です。
主菜
肉(牛、豚、鶏)や魚。大豆製品などが中心のおかず。
三大栄養素の良質なタンパク質しっかり摂りましょう。
副菜①
野菜や大豆製品などのおかず。
主菜では不足がちなビタミンやミネラル類、食物繊維を補いましょう。
副菜②
副菜①だけでは摂りにくい栄養を補うためのおかず。
油を使った料理でないものがよい。
汁物
胃腸を温めて食欲を促進させます。
塩分が多くなりがちなので、具材を多くするのがポイントです。
献立のルールを覚える
不足がちな栄養がしっかりとれる
更年期には、さまざまな不調が現れます。ゆえに一番身近な食事や生活習慣を改めて見直すことが大切になります。これまで更年期の不調を改善するために摂りたい栄養素のことを記述してきました。更年期を健やかに過ごすために、まずは不足しがちな栄養素を知ることが大切ですが、いざ実践するのは大変なこともあります。どんな食材にどんな栄養素が豊富に含まれているか把握するのも大変なことです。
ここでは、女性の健康を支えるための「最良の献立ルール」としてご紹介します。これから記載する8つのルールを守っていくことで、更年期の女性に不足しがちな栄養素が過不足なく摂れるようになります。むずかしく考えずに楽しみながら、女性の健康に欠かせない、栄養バランスのとれた食生活へと切り替えていきましょう。
記憶力の低下
記憶を司る海馬の働きが低下
うつやイライラといった精神神経症も更年期の不調のひとつですが、それと同時に「もの忘れ」が起こりやすいことも分かってきました。エストロゲンは脳に作用する働きがあり、中でも記憶や学習を司る「海馬」や、恐怖や不安などの感情をコントロールする「扁桃体」などに影響を与えています。
更年期にエストロゲンが減少すると、海馬で合成される神経伝達物質が減少してしまい、記憶力や認知機能が低下します。エストロゲンは海馬の神経細胞を保護する働きがあるので、減少することで記憶力に影響すると考えられています。
もの忘れが多くなって困るのが、約束や予定をすっぽかしてしまうことです。対策として、カレンダーなどに目立つように書いておき、常にチェックする習慣をつけるようにしましょう。
また、脳の機能低下は、頭を使うことである程度食い止められます。例えば、人の名前などが思い出せないときに、すぐに人に聞いたり調べたりすると、頭を使ったことになりません。どんな漢字が使われているか、その人の名前から浮かんでくるイメージなど、周辺情報の記憶をたどりながら、思い出す努力をしましょう。その過程で脳のさまざまな機能が使われ、機能が維持されます。
おすすめ食材と食べ方
良質な脂質、ビタミン類、ミネラル類
脳の血流をよくする栄養素で、脳の若さを保ちましょう。DHA、EPAなどの良質の脂質を含む青魚やびたみんB群、ビタミンA、E、亜鉛など積極的に摂りましょう。
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