骨密度の低下
女性ホルモンの減少により骨がもろくなる
女性が年齢を重ねるごとに気をつけたい病気が、骨粗しょう症です。骨密度が低下して骨がもろく弱くなり、ちょっとしたことで骨折してしまうようになります。また、更年期には転倒しやすくなるので注意が必要です。
骨密度の低下が進むのは更年期からです。骨はカルシウムの貯蔵庫でもあり、全身のカルシウム量を調整するために、骨を壊して血中にカルシウムを供給する一方で、食事からの十分なカルシウムにより新しい骨をつくる「骨形成」を繰り返しています。これらに大きく関わっているのがエストロゲンです。骨形成を促し、骨を壊す働きを制御する働きを担っています。
更年期にはエストロゲンが減少するため、骨を壊す働きは進行しますが、新しい骨はつくられにくくなるため、骨密度が減ってしまいます。女性はもともと骨密度が低いのに加え、妊娠・授乳の影響で骨に十分なカルシウムが蓄積されていないことがあります。そこに更年期や加齢の影響もあり、骨粗しょう症のリスクが高まり、骨折、腰や背骨が曲がりやすくなるということです。
骨粗しょう症予防のためには、必要な栄養素を十分に摂取することです。とくに日本の女性はカルシウムの摂取量が不足しています。さらに更年期には、若い頃に比べて、栄養素の吸収率が低下しますので、カルシウムが効率的に摂れる牛乳や乳製品を日に2回以上、こまめに摂るようにしましょう。
また、骨や筋肉は運動をすることで強くなります。速歩や筋トレなど筋肉を動かす習慣をつけるようにしましょう。毎日運動をするのが理想的ですが、頑張りすぎると続かなくなります。継続して行うには、テレビを見ながら、料理をしながらなど「ながら運動」のような負担にならないような、自分に合うやり方で軽い運動を取り入れてみましょう。
おすすめ食材と食べ方
良質のタンパク質、カルシウム、ビタミンD
カルシウムをしっかり摂ることはもちろん、骨形成を促したり、骨をしなやかにする栄養素も忘れずに摂りましょう。カルシウムやタンパク質を効率的に摂れる牛乳や乳製品、卵、ビタミンDが豊富な魚介類などを絶極的に摂りましょう。
血圧を下げることで疾病予防
カルシウム・カリウム・マグネシウム
高血圧の大きな原因のひとつが、塩分(ナトリウム)の摂りすぎです。塩分濃度を調整するために血液量が増えてしまうため、血管への圧力が高まります。これが過剰な塩分が高血圧を引き起こすしくみです。酢やハーブ、スパイス、ダシなどを上手に使って、食事の塩分量を少しずつ減らしましょう。
食事に取り入れたい栄養素が、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルです。これらは腎臓でナトリウムを尿などで体外に排出させる働きがあります。そのため、カルシウム、カリウム、マグネシウムも高血圧予防に欠かせない栄養素になります。
積極的にミネラルを摂る
牛乳や乳製品、大豆製品などのカルシウム源のほか、カリウム、マグネシウムの多い野菜、海藻、ナッツ類などを摂って、積極的にナトリウムを排出させましょう。
塩分を控えた食事
塩分摂取量の目安は1日6.5g未満です。酢やスパイス、ダシなどで味付けを工夫しましょう。
吸収のいいカルシウム
骨粗しょう症予防、美しいスタイルと姿勢を保つ
更年期は、女性ホルモンの減少の影響で腸でのカルシウム吸収率が減少し、加えて骨からカルシウムが血中に流出します。カルシウム不足が続くと、骨がスカスカがスカスカになる骨粗しょう症を招き、放置すると脊髄が変形し、重みで背骨がつぶれてしまい、身長が低くなってしまう恐れがあります。ほかには、転倒すると骨折するリスクも高まります。更年期の女性はとくに意識してカルシウムを摂る必要があります。
カルシウムは、含まれている食材によって体内への吸収率が異なります。例えば、牛乳なら40%程度、小魚は30%程度となります。できるだけ吸収率の高い食材を選び、良質のタンパク質やミネラル類を組み合わせて摂るようにしましょう。
牛乳、チーズ、ヨーグルトで吸収率アップ
カルシウムの吸収率の高さではトップクラスの乳製品です。発酵食品であるチーズやヨーグルトならば、乳酸菌も摂れて一石二鳥です。
吸収率のよい大豆製品も
牛乳に次いで吸収率が高いのが豆腐や高野豆腐などの大豆製品になります。植物性タンパク質やイソフラボン(抗酸化成分)が豊富なので積極的に取り入れましょう。
女性ホルモンの減少にともない補う栄養
カルシウム不足は深刻な問題
20代、30代では好きなものを好きなように食べていても、ほどほどに健康な状態が維持されます。栄養素の吸収が高いのに加えて、女性ホルモンが様々な生活習慣病を抑える働きをしているからです。しかし、更年期が近づき、女性ホルモンが減少するにつれて、維持されてきた健康がくずれていきます。
まず、更年期の女性に必要な栄養素に「カルシウム」があげられます。この時期の女性に多く見られるのが、骨からカルシウムが徐々に溶け出し、骨の密度が減少してしまう「骨粗しょう症」です。WHOや欧米の摂取基準では、骨が成長する思春期とほぼ同量のカルシウムを摂取するように推奨していますが、日本の更年期での基準量はWHOの定める値の半分しかない低い設定値です。
現在の日本人女性のカルシウム摂取量は低い基準であるにもかかわらず、30%も不足しているのが現状です。日本の更年期女性のカルシウム不足は、極めて深刻な状況にあります。
毎日女性が摂る栄養素
しっかり動くことが健康維持の秘訣
1日の栄養素の必要量を考えるとき、気をつけるポイントは、食品によって栄養素の吸収率が大きく異なることです。例えば、鉄分を動物性食品から摂取した場合の吸収率は植物性食品の4〜10倍です。また、カルシウムは乳製品から摂取した場合の吸収率は、野菜の4〜5倍になります。そのほか、栄養素の吸収率は調理法によっても変わります。更年期以降は栄養の吸収率が低下してきますので、食材や調理法を上手に選びながら各種の栄養素を取り入れましょう。
そして重要なのが、日々の活動量です。ほとんど動かない生活だからといって少食にしている方も多いと思いますが、これは大きな勘違いです。身体を動かすと栄養素の吸収・代謝の効率がよくなりますので、身体を動かさないとせっかく食べた栄養素の吸収が悪くなり、身につかず排泄されてしまいます。しっかり食べて、しっかり動くのが健康維持の秘訣になります。
ミネラル類
身体の構成成分や栄養の代謝、DNAの合成
骨や歯、赤血球、甲状腺ホルモンなどの身体の構成成分で、栄養の代謝やDNAの合成にも関わります。
歯や骨など、身体の構成成分となるほか、体内の生理機能の調整に関わっているのがミネラル類です。また、ビタミン類のように栄養素の代謝を調整する働きもあります。必須ミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、コバルトなどです。これらのミネラルは体内で作られないので、食事から摂る必要があります。
日本人はカルシウム不足、ナトリウムの摂りすぎという傾向があり、特に更年期の女性にとっては深刻な問題になります。カルシウムは必要量の70%しか摂取できておらず、塩分は40%も摂りすぎているという調査結果があります。ほかに、女性は月経があるため鉄分が補足しがちですが、更年期では閉経に近づいていくので、鉄不足の心配は解消されていきます。
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