消化・吸収できない成分で腸内環境を整える
食物繊維は人間にとって、消化・吸収できない成分です。そのため「栄養にならないムダなもの」と考えられていました。しかし、今では腸内環境を健全に維持するために重要な役割を担っていることがわかりました。とくに近年では、腸内細菌が私たちの健康に深く関わっていることも明らかになりました。
食物繊維は腸のぜん動運動を刺激して、排泄を促して腸内をきれいにします。また、食べた食品が腸内細菌のエサになり、善玉菌を繁殖させ、腸内細菌のバランス調整にも働きます。その他、糖質や脂質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑えたり、余分なコレステロールなどを体外に排泄したりする働きもあります。
野菜、イモ、豆、果物、海藻などの植物性食品に含まれており、更年期前から積極的に摂りたい栄養素です。
ミネラル類
身体の構成成分や栄養の代謝、DNAの合成
骨や歯、赤血球、甲状腺ホルモンなどの身体の構成成分で、栄養の代謝やDNAの合成にも関わります。
歯や骨など、身体の構成成分となるほか、体内の生理機能の調整に関わっているのがミネラル類です。また、ビタミン類のように栄養素の代謝を調整する働きもあります。必須ミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、コバルトなどです。これらのミネラルは体内で作られないので、食事から摂る必要があります。
日本人はカルシウム不足、ナトリウムの摂りすぎという傾向があり、特に更年期の女性にとっては深刻な問題になります。カルシウムは必要量の70%しか摂取できておらず、塩分は40%も摂りすぎているという調査結果があります。ほかに、女性は月経があるため鉄分が補足しがちですが、更年期では閉経に近づいていくので、鉄不足の心配は解消されていきます。
ビタミン類
生理機能の調整や代謝など
胎内の様々な生理機能の調整や代謝などに関わります。現在、必須と考えられているビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、D、E、Kの13種類です。
それぞれが体内で様々な働きを担っており、栄養素の代謝に関わったり、抗酸化作用によって活性酸素の害を防ぐなどの役割を果たしています。必要量はわずかですが、体内では合成できないため、必ず食事から摂る必要があります。中でも、ビタミンB群、Cの水溶性ビタミンは余分に摂っても尿中に排泄されてしまうので、不足しないように毎日摂るようにしましょう。
また、ビタミンDは免疫機能や骨・筋肉の合成に関わり、紫外線によって皮膚で合成できる唯一のビタミンですが、この年代の女性の40%がビタミンD不足と言われていますので、意識して摂るようにしましょう。
炭水化物(糖質)
すぐ活用できるエネルギー源
穀類(ごはん、パン、麺)、イモ類、砂糖などの主成分です。炭水化物は生きていくための主要なエネルギー源です。エネルギーが必要となるのは運動の時だけではありません。休息しているときも、心臓や肺、脳などあらゆる臓器に絶え間なくエネルギーを供給しています。
食事から摂った糖質は血中に入り、血糖となって全身をめぐり、各臓器の細胞を動かすエネルギー源となります。まさに「命の源」と言えるでしょう。この重要な糖質を、日本では古くから主食として、ごはんから摂取しています。
タンパク質
身体をつくる成分
肉、魚、卵、大豆、大豆製品から摂取します。タンパク質は腸でアミノ酸に分解され、血液によって全身に運ばれて、筋肉や骨格、臓器、皮膚、毛髪などの細胞を合成します。身体を構成するアミノ酸は20種類あり、その中で体内ではつくられず、食事から摂らなければならない9種類のアミノ酸が「必須アミノ酸」と呼ばれています。9種類の必須アミノ酸をすべて含むタンパク質が「良質なタンパク質」といい、肉や魚、卵、大豆、大豆製品などに多く含まれています。
脂質
エネルギーの貯蔵庫
ごま油などの油脂や肉、魚に含まれるエネルギー成分です。体に蓄えられる脂肪エネルギーの貯蔵庫としての役割を果たします。ただし、過剰摂取やコレステロールの摂りすぎは、肥満や動脈硬化、糖尿病などのリスクを高めます。
一方で、細胞膜やホルモン、脳の材料になるなど、身体に欠かせない栄養成分でもあります。良質な脂質には動脈硬化を予防する働きもあります。更年期以降は過剰摂取に気をつけて、身体の機能に必要な良質な脂質を選びましょう。
三大栄養素には相互変換がある
炭水化物、タンパク質、脂質は、それぞれバランスよく摂取するのが理想です。ただし大切な栄養素であるが故に、体内には不足しがちなため、「相互変換」する機能があります。例えば、タンパク質が極端に不足したときには、肝臓で炭水化物からタンパク質が合成されて不足を補います。また、炭水化物を制限しても、脂質やタンパク質から糖質へと変換されます。こうした栄養素の代謝に必要なのがビタミン類やミネラル類です。
人間が生きていくために必要な栄養素
年齢を重ねるとダイエットや美容だけでなく、健康のことが一番気になってきます。メディアやインターネットには「健康にいい」とされる様々な情報が溢れているので、何を信じたらいいのかわからなくなる人も多いことでしょう。
まず、栄養の基本的なことを理解しておきましょう。私たちが生きていくために必要なものは、「糖質(炭水化物)」、「タンパク質」、「脂質」の三大栄養素に加え、「必須ビタミン」と「ミネラル」をあわせた「五大栄養素」が欠かせません。不足するとスタミナ切れや免疫力の低下、肌荒れ、抜け毛といった不調につながり、やがては重大な病気を引き起こすことにもなりかねません。
また、五大栄養素のほかに健康を支えているのが、食物繊維と植物性食品の色素に含まれる機能性成分です。「ポリフェノール」「カロテノイド」「フラボノイド」などです。
更年期になると、これらの栄養素を過不足なく、バランスよく摂ることがとても重要になります。更年期がくる前から意識して摂るようにしましょう。
人間の体に必要な栄養素
[五大栄養素]
炭水化物
タンパク質
脂質
+
ビタミン類
ミネラル類
+
[機能性成分]
食物繊維
植物性食品の色素
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