良質な脂質
栄養素の循環と代謝を活発にする
カロリーの高い脂質はダイエットの敵として、体重が増えることを気にして控える人も多いことでしょう。ただし、脂質も三大栄養素の一つとして、体内で重要な役割を担っています。例えば、更年期に減少する女性ホルモンなど、体内で分泌されるホルモンは脂質から作られているものもあります。また、脂質は身体の基礎となっている細胞膜の材料でもあります。不足すると、細胞膜の機能が働きが悪くなり、必要な成分を細胞内に取り込みにくくなって、肌がガサガサになります。
不足しがちな良質な脂質は必須成分です。質の悪い脂質を摂りすぎると悪玉コレステロールや体脂肪が増える原因となります。良質な脂質を適度に摂り、細胞や血管を健やかに保ちましょう。
DHAとEPAの豊富な青魚
アジ、イワシ、サバなどの青魚に含まれるDHA、EPAは良質な脂質です。血液や血管を良好に保ち、脳の神経機能を高める働きもあります。
不足しがちなオメガ3系脂肪酸
EPA、EPA、α-リノレン酸などのオメガ3系の摂取を意識しましょう。
良質なタンパク質
血管壁を強くし、ハリのある肌や髪、引き締った筋肉へ
タンパク質は、体内のあらゆる細胞を構成する元になります。筋肉はもちろんのこと、肌や髪、血管などの若さを保つためにも必須の栄養成分です。顔面の筋肉は、美しい顔の表情をつくり、丈夫な骨と筋肉は、美しく若々しいスタイルも保持します。
ところが日本の女性は、カロリーを気にしすぎる傾向があり、結果としてタンパク質不足におちいりやすいようです。また、更年期には消化吸収や代謝の機能が低下します。さらに必須アミノ酸が不足すると、タンパク質が身体の材料として使われにくくなり、一層身体の機能が損なわれます。更年期では、より一層良質なタンパク質を積極的に取り入れる必要があります。
必須アミノ酸のバランスのよい肉、魚介、大豆
肉や魚介、卵、乳製品などの動物性タンパク質、大豆や大豆製品は体内で作ることができない必須アミノ酸のバランスが良いので積極的に摂りましょう。
大豆製品は動物性タンパク質と一緒に摂る
また、植物性タンパク質である大豆や大豆製品は、アミノ酸のバランスに優れています。動物性のものとバランスよく組み合わせるのがよいでしょう。
食事・運動の改善ポイント
体重が増えた(減った)
体重は体脂肪量を知る目安になりますが、体重が減ってきた時は、筋肉量も減っている可能性があります。年齢の影響により筋肉量は減っていき、高齢期のフレイルを招くことになります。タンパク質摂取、運動が重要になります。
※フレイルとは、筋肉量や心身の活動が低下し、介護が必要になりやすい状態のことをいいます。
ウエストまわりの脂肪が増えた
お腹の脂肪はメタボリックシンドロームの一番の危険要因です。女性では、ウエスト周りが90cmを超えると、内臓脂肪の面積が100cm2以上に達すると推測され、糖質や脂質の代謝に悪影響があります。適度な運動と減量で内臓脂肪を減らしましょう。
血圧が上がった
更年期では、自律神経が乱れやすくなり、血管の柔軟性も減少し血圧が徐々に高くなる傾向にあります。これまで以上に減塩を心がけて、増えた体重を減らし、適度な運動をすることで、血圧も低下しやすくなります。
脂質異常症が出現
更年期では、女性ホルモンの減少によってコレステロール値や中性脂肪値が高くなりがちです。HDLコレステロールが低い場合は、炭水化物を減らしましょう。LDLコレステロールが高い場合は、脂質摂取量を減らす必要があります。
血糖値が上昇
女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、血糖値を低下させるインスリンの働きが弱くなり、血糖値が上昇しやすくなります。食物繊維の量を増やして、炭水化物や糖質(甘いもの)の摂取は控えましょう。加えてウォーキングなど適度な運動量を増やして、インスリンの効果を高めましょう。
栄養の問題点は健康にマイナスの影響
カロリー、ビタミン、ミネラル不足にも注視
女性ホルモンが豊富に分泌されている時期は、少々栄養バランスに問題があっても、女性ホルモンの働きで健康が保たれています。例えば、カルシウムが不足した場合でも、腸からのカルシウムの吸収を増加させるなど、女性ホルモンが調整してくれました。こうした女性ホルモンのサポートが減少する更年期では、栄養の過不足が顕著になり、健康に影響してきます。
若い頃と同じ生活をしていると、血圧が少しずつ上昇して、血中コレステロールも増えていきます。また、体重は変わらないけど、お腹まわりに男性のような内臓脂肪がつきやすくなります。唯一プラスの影響といえるのが、月経がなくなっていくことにより、鉄分不足が改善されるので、貧血の不調からは開放されるでしょう。いずれにしても更年期ではこれまで以上に、カロリー、ビタミン、ミネラル類の不足には注視する必要があります。
女性ホルモンの減少にともない補う栄養
カルシウム不足は深刻な問題
20代、30代では好きなものを好きなように食べていても、ほどほどに健康な状態が維持されます。栄養素の吸収が高いのに加えて、女性ホルモンが様々な生活習慣病を抑える働きをしているからです。しかし、更年期が近づき、女性ホルモンが減少するにつれて、維持されてきた健康がくずれていきます。
まず、更年期の女性に必要な栄養素に「カルシウム」があげられます。この時期の女性に多く見られるのが、骨からカルシウムが徐々に溶け出し、骨の密度が減少してしまう「骨粗しょう症」です。WHOや欧米の摂取基準では、骨が成長する思春期とほぼ同量のカルシウムを摂取するように推奨していますが、日本の更年期での基準量はWHOの定める値の半分しかない低い設定値です。
現在の日本人女性のカルシウム摂取量は低い基準であるにもかかわらず、30%も不足しているのが現状です。日本の更年期女性のカルシウム不足は、極めて深刻な状況にあります。
①適正体重を計算する
1日の必要エネルギー量を求めるために適正体重を知りましょう。(BMI指数参照)
適正体重=身長(m)×身長(m)×BMI指数22
※BMI指数とは Bady Mass Indexの略称で、体重と身長から算出される肥満度を表す国際的な指標です。指数22は、死亡率が最も低いとされる数値です。
②基礎代謝量を計算する
適正体重がわかったら、その体重に基づく基礎代謝量を計算しましょう
基礎代謝量(kcal / 日)=
適正体重(kg)×基礎代謝基準値(kcal / kg (体重 / 日))
※基礎代謝基準値(kcal / kg 体重 / 日)
30〜49歳
□女性 21.9
□男性 22.5
50〜64歳
□女性 20.7
□男性 21.8
65〜74歳
□女性 20.7
□男性 21.6
③1日のエネルギー量を算出する
基礎代謝量に1日の活動エネルギー量を加えたものが、推定エネルギー必要量です。以下の式で算出してください。
推定エネルギー必要量=基礎代謝量×身体活動レベル
※身体活動レベル
低い 1.5
生活の大部分が座位で、静かな活動が中心の場合
普通 1.75
座位中心の仕事で、職場内での移動や立位での作業・接客、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツのいずれかを含む場合
高い 2
移動や立位の多い仕事に従事している、または、スポーツなど余暇における活発な運動習慣を持っている場合
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