VOL.453 アジ〜味がいいからアジ

味がいいからアジが由来の丸ごと食べて無駄なく栄養摂取

【主な栄養素】

タンパク質

筋肉や皮膚、髪などはすべてタンパク質からできています。
タンパク質は炭水化物・脂質とあわせて三大栄養素と呼ばれています。人間の筋肉や臓器、体内の調整に役立っているホルモンの材料となるだけでなくエネルギー源にもなっている必要な栄養素です。主にアミノ酸によって構成されています。
アミノ酸や、アミノ酸がつながったペプチドに分解されて体に取り込まれたあと、必要なタンパク質へと再形成されます。

自然には多くのアミノ酸が存在していますが、体の材料となりうるアミノ酸は、このうちの20種類です。これら20種類のアミノ酸がそれぞれの目的にあわせて数十~数百個以上結合し、約10万種類のタンパク質に形を変えます。
筋肉や肌、髪が同じタンパク質からできているのに形が異なるのは、このようなアミノ酸の組み合わせによるものです。

また、20種類のアミノ酸のうち9種類は体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。これを必須アミノ酸、それ以外の11種類を非必須アミノ酸と呼びます。

動物性タンパク質と植物性タンパク質の違い
最大の違いは必須アミノ酸のバランスにあります。
動物性タンパク質は多くのものが9種類の必須アミノ酸を含んでいますが、一部の植物性タンパク質は不足しているものがあります。アミノ酸全体の働きは不足している必須アミノ酸のレベルにあわせて制限されてしまうので、タンパク質を摂っているつもりでも足りていなかった、となってしまうことがあります(アミノ酸の桶の理論)。また、体内の吸収率も動物性タンパク質97%に対して、植物性タンパク質は84%となっています。

タンパク質が不足すると
体を作る材料が減ってしまうので、筋肉量の減少や、肌や髪のトラブル、集中力・思考力が下がってしまうことがあります。またタンパク質には保温効果があるため、不足すると体が冷えやすくなる可能性もあります。

逆に過剰摂取は体に大きな負担をかけることがあります。動物性タンパク質を意識するあまり、脂質も多く摂ってしまいカロリーオーバーや肥満を招く可能性も考えられます。

他にも、腸内環境の乱れや肝臓・腎臓にかかる負担からの内臓疲労も高まる可能性があります。

カルシウム

カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などに関与しています。生体内に最も多く存在するミネラル、その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨や歯などの硬組織に存在しています。

骨は約3ヶ月のサイクルで、骨形成(骨へのカルシウムなどの沈着)と骨吸収(骨からのカルシウムなどの溶出)を繰り返しています。成長期には形成量のほうが吸収量より多く骨量は増加しますが、男性では50歳代から、女性では閉経後に、吸収量のほうが形成量を上回るため骨量が減少していきます。

カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなります。幼児では骨の発育障害が起こり、成長が悪くなります。不足状態が長期間続くと、骨密度の上昇が妨げられて丈夫な骨が形成できなくなり、高齢期、特に閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすくなります。また、神経や筋肉の興奮が高まり、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)などが起こります。

カルシウムの過剰によっても、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などの様々な健康障害が起こります。また、亜鉛や鉄などの他のミネラルの吸収も妨げられてしまいます。日本人の通常の食品からの摂取では、耐容上限量を超えることはまれと思われますが、カルシウム強化食品やサプリメントを使用する場合には、摂りすぎに注意が必要です。

ビタミンB2

ビタミンB2は「発育のビタミン」ともいわれ、発育促進と美容に欠かせない栄養素です。

これは水溶性のビタミンで、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー生産に関わる酸化還元酵素の補酵素として働きます。特に脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。

現代人には不足がちな栄養素なので、食べ物から積極的に摂取しましょう。

【こんなお悩みの人にオススメ】

□肌トラブル
□貧血

【選び方・保存のコツ】

身にハリがあって光沢のあるもの、可能であればおなかを触り、弾力のあるものを選びましょう。目に透明感があるものが新鮮な証です。

丸ごとの場合はとにかく早めに腐敗のもととなる内臓を取り除く処理をするのが肝心です。キッチンペーパーなどで水分を取りながらラップに包んで冷蔵庫や冷凍庫で保存します。酢締めなどにするのも良いでしょう。

【美味しい旬は】

5月〜7月

VOL.452 アサリとエビのエスニックスープ

エビとダブルでタウリンをより多く摂れる一品

材料(2人分)

アサリ(殻つき)・・・250g
エビ(殻つき)・・・6尾
セロリ・・・1本
油・・・大さじ1

A
水・・・2カップ
ナンプラー・・・大さじ1/2
塩・・・少々
こしょう・・・少々

糸唐辛子・・・適量
ライム・・・1/4個

作り方

①アサリは塩水(分量外)につけて砂抜きをします。水洗いをして水気を切ります。エビは尾を残して殻をむき、尾の先を切り落として汚れをとります。背中に切れ目を入れて背わたを取ります。

②セロリは斜め切りにし、葉は手でちぎります。

③鍋にAを煮立てて、エビを加え、エビの色が変わったらセロリ、アサリを加えてひと煮立ちさせます。

④器に③を盛り付け、糸唐辛子を散らし、ライムを絞ったら完成です。

このレシピで摂れる美肌栄養素

ビタミンC・ビタミンE・ビタミンK・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン・タンパク質・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・亜鉛・鉄・ヨウ素・セレン・食物繊維

VOL.451 アサリの山椒風蒸し

うまみを存分に引き出す蒸し焼き調理の一品

材料(2人分)

アサリ(殻つき)・・・400g
にんにく・・・1片
しょうが・・・1片
油・・・大さじ1
紹興酒・・・大さじ2

A
実山椒・・・少々
ごま油・・・小さじ1
しょうゆ・・・小さじ1/2

香菜・・・少々

作り方

①アサリは塩水(分量外)につけて砂抜きをします。水洗いをして水気を切ります。

②にんにく、しょうがはみじん切りにします。

③フライパンに油、②を入れて熱し、香りが出たら①、紹興酒を加えてフタをして酒蒸しにします。

④アサリの口が開いたらAを加えてサッと炒めて器に盛り付け、ちぎった香菜を散らしたら完成です。

このレシピで摂れる美肌栄養素

ビタミンE・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ナイアシン・葉酸・ビオチン・タンパク質・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・亜鉛・鉄・ヨウ素・セレン

VOL.450 アサリ〜鉄と血液サラサラ効果

鉄分豊富で血液サラサラ効果もある、旨味たっぷりの貝

【主な栄養素】

体内に酸素を巡らせて血色のいい肌をつくってくれるヘモグロビンに必要なミネラルです。不足すると貧血の原因となります。特に女性は不足しがちな栄養素です。

鉄分はからだの中に約3gあるといわれています。そのうち約65%は血液中のヘモグロビンの構成成分となり、酸素運搬という重要な役割を果たしています。吸収された鉄分は、酸化され、アポトランスフェリンというたんぱく質と結合してトランスフェリンとなり、血液に乗って体中に運ばれます。輸送された鉄分は、ヘモグロビンとなって酸素の輸送に関与するほか、筋肉中に酸素を蓄えるミオグロビンの構成成分になります。

食品中に含まれる鉄分は、ヘム鉄と非ヘム鉄とに分けられます。たんぱく質と結合しているヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれていて、ヘム鉄以外の無機鉄を非ヘム鉄と言い、こちらは植物性食品に多く含まれています。

鉄分は日本人が不足しやすい栄養素の一つで、不足すると鉄欠乏性貧血になります。貧血になるとからだが重い、息がきれる、顔色が悪い、疲れやすいと感じるようになります。

貧血予防のためには、鉄分だけを補えばいいというわけではありません。ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合してできているので、たんぱく質も摂取する必要があります。また、赤血球の合成に必要な、ビタミンB12や葉酸も十分に摂取しましょう。

通常の食事では過剰になることはありませんが、サプリメントなどによる過剰摂取は注意しましょう。長期にわたり過剰に摂取しつづけると鉄沈着症を発症する恐れもあり、非ヘム鉄サプリメント摂取で便秘、胃部不快感などの副作用がおこることもあるようです。

ビタミンB12

ビタミンB12は水に溶けやすい「水溶性ビタミン」に分類されるビタミンB群の一つです。同じビタミンB群である葉酸とともに、体内で血液をつくる際に重要な役割を果たしています。そのほか、脳や神経の機能を正常に維持するはたらきがあるともいわれています。

また葉酸やビタミンB6とともに動脈硬化の危険因子だといわれている物質「ホモシステイン」の血中濃度を正常に保つ作用もあります。

ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないのが特徴です。
不足すると新たに血液を造ることができずに起こる巨赤芽球性貧血、末梢神経障害(しびれや、手足のチクチクする痛み)、疲労、体力低下、便秘、食欲不振、体重減少などの症状が起こる可能性があるので摂取不足には注意が必要です。

過剰摂取については、胃から分泌される内因子によって吸収量が調節されるため、ビタミンB12の過剰摂取による障害はほとんどありません。

※ホモシステインとは
体に必須なアミノ酸の一つ「メチオニン」が代謝されることで生成されるアミノ酸の一種です。

タウリン

タウリンとは含硫(がんりゅう)アミノ酸の一種で、いかやたこ、貝類、魚の血合いなどの主に魚介類に多く含まれている成分です。生体中のほとんどすべての組織に存在しており、動脈硬化や糖尿病、心不全などの生活習慣病に対して効果が高いことで知られています。

肝機能を高める効果
タウリンは、肝臓で胆汁酸の分泌や肝細胞の再生を促進したり、細胞膜を安定化させたりすることがわかっています。摂取することで肝臓の機能を強化させ、代謝や解毒、胆汁の生成を助ける働きをします。また、タウリンにはアルコールの代謝を促進する働きがあります。酵素の働きを助ける効果があり、肝臓への負担を軽くします。

コレステロール値を下げる効果
タウリンは胆汁の分泌を促進し、コレステロール値を下げる効果があります。タウリンは、胆汁酸と結合する性質があるため、タウリンを摂取することで胆汁酸の必要量が増加するため、コレステロール値を下げる効果があるといえます。

動脈硬化を予防する効果
動脈硬化とは、血中のコレステロールや中性脂肪が増え、血管壁にこびりつくことで血管が詰まったり、硬くなったりして、弾力や柔軟性を失った状態をいいます。動脈硬化になると、心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が高まります。タウリンは、コレステロールの上昇を抑制する効果があるため、動脈硬化を予防することができると考えられます。

高血圧を予防する効果
タウリンは、ホメオスタシスという体が持つ機構や体をつくっている細胞を正常な状態に保つ作用があります。血圧は動脈硬化や、交感神経が刺激を受けることによって心拍の動きを速めたり、腎臓の働きを抑制したりすることで起こります。特にタウリンは、塩分の過剰摂取によって起こる高血圧に効果的だといわれています。

視機能を改善する効果
タウリンは、目の網膜に存在しています。網膜には多数の光受容体があり、外部からの光刺激を感知することで、その刺激を脳中枢へと伝達しています。この光受容体にタウリンは存在しており、網膜の神経を抑制することで網膜を守る働きがあるといわれています。また、タウリンには目の新陳代謝を促進し、角膜の修復を助ける働きもあるといわれています。

むくみを予防・改善する効果
タウリンは、筋肉の収縮力を高める効果があるため、むくみにも効果的だといわれています。

便秘を解消する効果
腸の筋肉の衰えによりぜん動運動が鈍ってしまうことから、筋肉の収縮力を高めるタウリンは便秘にも効果的であると考えられています。

【こんなお悩みの人にオススメ】

□冷え・コリ
□イライラ
□不眠
□貧血

【選び方・保存のコツ】

新鮮さがポイントのアサリは、水管を出していて活発に動いているものを選びましょう。さらに貝殻の模様がはっきりと鮮やかなものがよいとされます。

すぐに食べないのであれば、塩水の中に入れて冷蔵庫で保存します。もしくは新鮮なうちに冷凍が可能です。冷凍する前に砂抜きを忘れずにしておきましょう。

【美味しい旬は】

2月〜4月

アサリで摂れる美肌栄養素

ビタミンE・ビタミンB2・ビタミンB12・パントテン酸・ビオチン・タンパク質・カルシウム・マグネシウム・リン・亜鉛・鉄・ヨウ素・セレン

VOL.449 果物編について

甘みの強い果物は料理に使いにくいため、食べようと思わないとなかなか食事には取り入れにくいと思います。しかし、果物だからこそ含まれる美容や健康に有効な成分もたくさんあります。

朝食やデザート、おやつなどにして、もっと積極的に毎日の食事に取り入れていきたいのが果物なのです。

次回からは、魚介についてのお話になります。

VOL.448 プルーン〜手軽な美肌おやつ④

貧血予防におすすめで鉄を補充して血色のいい肌に

ドライフルーツの中でも、鉄の含有量が高いのが特徴です。他にもカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富です。βカロテンやポリフェノールも美肌にとって大切な栄養素です。

【主な栄養素】

ビタミンE

「若返りのビタミン」言われる、強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンで、体内の脂質の酸化を防ぎます。また、動脈硬化や血栓の予防、血圧の低下、LDL(悪玉)コレステロールの減少、細胞膜を健全に保つなどの働きがあり、加齢によって発症しやすい疾患の予防に役立ちます。

ビタミンEは、紫外線や外的刺激から肌を守り、適度な潤いを保つために必要な「バリア機能」を安定させます。また、ビタミンEには血行促進作用があり、皮膚の新陳代謝を高め、メラニンの排出を促します。シミ・ソバカスが気になる方も積極的にとりたい美肌栄養素です。

脂溶性ビタミンであるビタミンEは、生で食べるよりも炒めものなど、油脂と一緒に摂取する方が吸収率が高くなります。酸化しやすい性質があるため、鮮度の良いうちに食べた方がいいでしょう。ビタミンC、βカロテン、ビタミンB2、セレンと一緒に摂ることで抗酸化力アップにつながります。

さまざまな食品から摂取できるため欠乏症は起こりにくいと考えられていますが、「欠乏した場合」、溶血性貧血、不妊症、眼の障害、筋力低下、神経障害などが起きる可能性があります。血行も悪くなり、冷え性や頭痛、肩こりなどを起こしやすくなります。また、血液中のコレステロールも酸化しやすくなるため、これが血管壁に入り込んで溜まり動脈硬化の原因につながります。

また、体内に蓄積されにくい特性を持っているため、通常の食生活では過剰の心配はありませんが、アンチエイジングを謳ったサプリメントや健康食品等で、「長期の過剰摂取」により軽度の肝障害のリスクがあるため、目安量の摂取を心がけましょう。

葉酸

「女性の栄養素」とも呼ばれている葉酸は、水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に分類されます。ほうれん草の抽出物から発見されたため葉酸と名付けられました。植物の葉に多く含まれ、黄色結晶で光や熱に不安定な物質です。

葉酸は血液を作る上で重要な役割を果たす栄養素の一つで、ビタミンB12と共に赤血球の生産を助けるビタミンです。貧血予防に必要な栄養素として知られています。

また、代謝に関与しており、DNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要なビタミンです。

DNAは私たちの体を作り正常に機能させるための設計図のもととなる物質です。DNAやたんぱく質の合成がうまくいかないと、うまく体を作り機能させることができません。

「胎児の正常な発育に重要な栄養素」である葉酸は、母親の胎内で胎児の脳や神経管、心臓などの体の重要な部分が形成される妊娠初期に特に多く必要とされ、不足すると子どもに先天性の神経管閉鎖障害などの異常が生じる可能性が高くなることが分かっています。

また近年では、動脈硬化のリスク因子である「血清ホモシステイン」という物質が血液中に増えるのを抑えるはたらきがあることでも注目されています。

カリウム

体液のバランスを整えるのに不可欠なミネラルです。

カリウムは、細胞の浸透圧を維持しているナトリウムとバランスをとりながら細胞を正常に保ち、血圧の調整したりして、常に一定したよい体内の状態(恒常性)を維持することに役立っています。

ナトリウムはとり過ぎると高血圧の一因になりますが、その一方でカリウムは血圧を下げる働きがあります。ナトリウムを体外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。

また、カリウムが不足すると脱力感、食欲不振、筋無力症、精神障害、不整脈、むくみ、などの症状がみられることがあります。近年では、カリウムの摂取量を増やすことによって脳卒中の予防や骨密度の増加につながることもわかっています。

【こんなお悩みの人にオススメ】

□便秘
□肌トラブル
□不眠
□貧血

プルーンで摂れる美肌栄養素

ビタミンA・ビタミンE・ビタミンB6・葉酸・カリウム・食物繊維