辛味成分が血液をサラサラにしてくれる
【主な栄養素】
カリウム
体液のバランスを整えるのに不可欠なミネラルです。
カリウムは、細胞の浸透圧を維持しているナトリウムとバランスをとりながら細胞を正常に保ち、血圧の調整したりして、常に一定したよい体内の状態(恒常性)を維持することに役立っています。
ナトリウムはとり過ぎると高血圧の一因になりますが、その一方でカリウムは血圧を下げる働きがあります。ナトリウムを体外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。
また、カリウムが不足すると脱力感、食欲不振、筋無力症、精神障害、不整脈、むくみ、などの症状がみられることがあります。近年では、カリウムの摂取量を増やすことによって脳卒中の予防や骨密度の増加につながることもわかっています。
硫化アリル
ネギ類やにんにくなど、主にユリ科の植物に含まれる香り成分であるアリシンが含まれています。アリシンは硫化アリルの一種です。
アリシンは体内で胃の消化液の分泌を活発にし、食欲を増進させたり、ビタミンB₁の吸収を高めたりするなどの働きをしています。そのため、ビタミンB₁を多く含む豚肉や大豆などと一緒に食べると良いといわれています。
またアリシンは水溶性の成分のため水にさらすと溶け出し、さらに加熱に弱い性質を持つため調理の際は注意が必要です。たまねぎに含まれているアリシンは、水にさらす時間を短くし、そのまま生で食べることが良いとされています。切ったたまねぎは15分ほど空気に触れさせてから調理すると、加熱してもアリシンが壊れにくくなるといわれています。
動脈硬化を予防する効果
たまねぎに含まれているアリシンには血液をサラサラにする効果に加え、善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減らす働きがあります。コレステロールの増加を抑えて血液の凝固を遅らせるため、動脈硬化予防や血流を改善する効果が期待できます。
疲労回復効果
たまねぎに含まれているアリシンには、疲労回復効果があるといわれています。
アリシンはビタミンB1と結合するとアリチアミンに変換されます。変換されることによって、長く血液中に留まることが可能になり、長時間に渡って疲労回復のために利用されます。
また、アリシンにはビタミンB1の吸収を高める働きもあります。ビタミンB1は食事から摂った糖質をエネルギーに変えるために必要とされる栄養素です。糖質をエネルギーに変える力が低下してしまうと、疲労物質である乳酸が溜りやすくなり、疲労を感じるようになります。
食物繊維
大腸の働きを活発にし、腸内をお掃除します。善玉菌を増やして腸内環境を整えます。不足すると腸内に老廃物が溜まり、便秘や肌荒れ、病気の原因にもなります。
食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されています。水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維とに大別されます。消化されないため、エネルギー源にはなりません。
水溶性食物繊維には果物や野菜に含まれるペクチン、コンブやワカメなどのぬるぬるの成分のアルギン酸などがあります。不溶性食物繊維には、植物の細胞壁を構成しているセルロースやヘミセルロース、リグニンなどがあります。カニやエビの殻に含まれるキチンも不溶性食物繊維に分類されます。
水溶性食物繊維も不溶性食物繊維もどちらも体内には吸収されませんが、健康のためには重要な役割を果たしており、第六の栄養素ともいわれ注目されています。
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。
また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。
食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化によって便秘になりやすくなります。その結果、痔になったり、大腸癌のリスクが高まったりします。また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。そのほかにも、食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあり、食べた時の満足感も高いため、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。
通常の食事では食物繊維の過剰摂取の心配はなく、むしろ、現在の日本人は食物繊維が不足ぎみなので、意識して摂る必要があります。
サプリメントなどの健康食品を利用する際は、飲みすぎるとおなかが緩くなったり、他の栄養素の吸収を妨げたりする可能性があるため、注意が必要です。
【こんなお悩みの人にオススメ】
□冷え・コリ
□便秘
□肌トラブル
【選び方・保存のコツ】
根や芽が出ていない、外側の茶色い皮がパリッとしているものが新鮮です。丸みがあって、触ってみって芯がかたく感じられるものを選びましょう。
玉ねぎは湿気がこもらない風通しのよい常温保存がオススメです。日の当たらないところに置けば数週間はもちます。吊るしておくのがなお良いのですが、難しければ新聞紙でふんわり包んでおきましょう。
新玉ねぎは傷みやすいのでお早めに。
【美味しい旬は】
3月・4月
※これは新玉ねぎの旬です。品種や産地に幅があるので一年中が旬になります。